迷惑施設とは何か

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保育園や児童相談所と,廃棄物処理施設の価値創出構造に類似性があるということで,先に解説した「環境ビジネスの価値創出構造」についておさらいをしましょう。
廃棄物処理においては,次の3者が共同して価値を創り出します。

  1. 排出者(廃棄物を発生する個人や会社)
  2. 処理事業主体(廃棄物処理を行う業者や自治体)
  3. 地元(施設が立地する地元のコミュニティー)

この3者は,売り手とか買い手とかではなく,共同生産者(プロデューサー)と位置付けられます。
それぞれの共同プロデューサーは,何らかのリソースを提供し,その見返りとして,そこから創り出される価値の分配を受けます。
共同生産者のうちの地元が提供するリソースは,受苦です。
受苦とは,受益の対義語で,嫌なことを我慢して受け容れることです。
地元が迷惑を受け入れることで廃棄物処理が行われ,そこに価値が創り出されるわけですから,地元は相応の分配を受ける権利があります。
うまく行っている廃棄物処理事業は,おおよそこのような価値創出構造を確立しています。
でも,実際のところ,こういう構造を理解していない人が,地元にも廃棄物処理関係者の中にも居るのです。

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廃棄物処理施設の知識をもとに,保育園に受益の受苦の非対称性サービス=ドミナント・ロジックをあてはめ,その価値創出構造を図にしたものが,slide 5です。
廃棄物処理のモデルは,そのまま児童福祉施設に当てはめることができます。
このモデルでは,地元は一方的に被害を蒙る被害者ではなく,嫌なものを我慢して受け入れる(受苦)というリソース提供をして,その見返りとして相応の分配を受けます。
分配と言っても,普通はあまり大きなものではありません。
街づくりへの協力;登園・退園時の交通安全;騒音への配慮といった程度のことで,折り合いが付くのが通例です。
円滑に運営されている保育園は,このように地元を共同プロデューサーとして取り込んでいます。

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地元を共同プロデューサーに出来なかった場合が,これです。
地元は,共同プロデューサーでないとすると,被害者です。
地元が提供するはずのリソースである受苦は,地元が蒙る迷惑になります。
町づくりへの寄与や,環境配慮といった地元が分配を受ける予定だった価値も,なくなります。
こういう状態は,誰にとっても損です。
つまり,事業者,利用者,地元の誰の得にならないのです。
特に,地元は児童福祉施設が地域の価値を下げることを惧れて,共同プロデューサーに参加しないのですが,エゴに凝り固まった人間が住む街として,そのことが却って地域の価値を損なうことさえあります。

 

しかし,このような地元が一方的に悪いわけではありません。
やはり,事業を計画しその実現に向けて様々な事務を推進する,事業者の責任が最も大きいのです。
なにせ,事業者は3者の1つではあっても,全体を主導的に仕切るのは事業者であって,地元を共同プロデューサーとして招き入れる責任も負っているのです。

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