フェイク情報からの自己防衛(II)

物理学の世界には,示強性変数(intensive variable)と示量性変数(extensive variable)とがある。ここを理解し,巷に出回る情報にこの概念を適用すると,その情報の質が評価できる。
参考:物理メモ 示強性・示量性とは

巷に,特にインターネットに出回る情報の質は,その情報の強度と量を見て,はじめて評価できる。

まず,情報の強度とは,一言でいえば説得力だ。まず,確実な観察や取材をして客観的視点で現象を把握していること。そして,現象を多くの側面から分析し,全体像を明らかにしていること。さらに,深く掘り下げた考察を行って,現象の背景・原因・意味・未来予測などの展開があること,などだ。これらの要素に論理的矛盾がなければ,それは説得力がある強度の高い情報と言える。

いっぽう,情報の量とは,おおよそ情報の件数と言って良い。この人はこう言っている;あの人もそう言っている;みんな同じことを言っている,このような情報は量としては充実している。日々何十回も放送され何十万人もの人が見ているテレビCMや,何百万部も発行されている新聞の記事。これらも,情報の量としては大きい。しかし,気を付けたいのは,情報の量と情報の強度はまったく別の次元のものだということだ。つまり,新聞その他の報道の権威とは,情報の量によるものであって,必ずしも強度が伴っているとは限らない。

インターネットに出回るニュースも,独自取材によるものは少なく,多くは1つのネット情報をもとに多くの素人が加工をして2次情報として再生産したものだ。だから,これらには強度が伴わない。

インターネット以前は,新聞等のマスメディアが情報の量を以て権威を維持してきた。インターネットが普及してからは,マスメディアが独占していた情報発信機能を一般個人までが持つようになった。しかし,個人が発信するインターネット情報は,情報の強度の面からすればマスメディアのものと大差ないのだ。

インターネットもマスメディアも,情報を強度よりも量で操っていることについては同質だ。特にインターネットは,マスメディアの独占を崩すオープンな媒体と思われているが,ひとつのニセ情報が多くの素人に利用され,2次情報が自律的に増殖するので油断ならない。

うぷ主は,物理学で用いられる示強性・示量性の概念を,ネット情報やマスコミ情報の評価に適用することが,科学的に厳密に正しいかどうかは分からない。文献もあまり読んでいないので,社会科学分野での情報論に物理量の概念を適用する事例のある・なしも知らない。でも自分自身は,これでガセ情報に引っ掛からず,ガセ情報の拡散に加担しないで済んでいる。・・・と思っている。

知らんけど。

コメント

タイトルとURLをコピーしました